『ひよっこ錬金術師はくじけないっ!』 ニーナのアトリエ、ハードモードで新装開店!(ニシノヤショーゴ)

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感想とおすすめポイントまとめ

  • アトリエシリーズの雰囲気を強くまとった錬金術もの。錬金術でガラクタばかり作ってしまうニーナが、錬金術師の街で失敗を繰り返しつつも成長していく物語
  • ストーリーも錬金術もご都合展開なしのハードモードにも関わらず、ニーナの持ち前のキャラクターと個性豊かな発明品たちが、物語の雰囲気を明るくしている点が素晴らしい
  • アトリエシリーズをプレイしたことがあり、錬金釜をぐるこーんしたい人には強くおすすめ! がんばりもの、成り上がりものとしても今後の展開に期待
  • 連載中。31話終了時点でおよそ小説半冊程度のボリューム

錬金術で調合したアイテムを持って旅にでよう!

ニシノヤショーゴさんが「小説家になろう」、「ノベルアッププラス」にて連載中の作品です。正式なタイトルは『ひよっこ錬金術師はくじけないっ! ~ニーナのドタバタ奮闘記~』。投稿開始からちょうど1ヵ月で31話、10万字強と、コンスタントな投稿に今後の展開が楽しみな小説です。

本作は錬金術もの。「錬金術士」のアトリエシリーズをやり込んできた自分の大好物のジャンルです。スタイリッシュな錬金術ものが世にはびこる時勢にも関わらず、本作では錬金釜に材料を投入してかき混ぜるクラシックな錬金術スタイルである点もポイントが高いです。やっぱり「ぐるこーん」したいですよね!

ガラクタばかり作ってしまう初心者錬金術士のニーナが、まだ見ぬ素材を手に入れて腕前を磨くために、錬金術師が集まる街に旅立つところから物語ははじまります。展開はなかなかにハードモードで、お上りさんの田舎者をだまそうとする悪い大人もいますし、ニーナがつくる発明品も当然ながらなかなか認めてもらえません。そんなリアルな逆境にもくじけず、失敗しても立ち上がっていくニーナの姿が魅力的な作品となっています。

錬金材料の名称の纏う神秘的な雰囲気や、素材採取のわくわく感などなど、アトリエシリーズの好きな方にはささるポイントが満載であり、心からお薦めできる作品です。個性豊かでピーキーな性能の発明品を駆使しつつ、がんばって前に進んでいくニーナの成長からも目が離せません!

オススメ度とおすすめしたい人

おすすめ度(31話時点)

★★★★(星4つ、オススメ!)

★5つで満点。かぴばーの個人的好みに基づいたスコアです。

おすすめしたい人

アトリエシリーズが好きな人、明るく前向きにがんばる錬金術師の少女から勇気をもらいたい人、アイテムを駆使した戦闘が好きな人、雰囲気ある錬金素材名を見るとわくわくする人、錬金術といえば鍋をぐるこーんな人

あらすじ

ニーナは駆け出しの錬金術師の少女。素晴らしい発明を目指して頑張るものの失敗ばかりの毎日で、たまにできる発明品も個性的過ぎて、周囲からは「ガラクタ発明家」と呼ばれてしまう始末。

錬金術師としての腕をからかわれることが悔しくて、ニーナは錬金術師が集まる街、クノッフェンに旅立つことを決意する。錬金術は素材が命。クノッフェンで手に入る珍しくて高品質の素材を使えれば、きっと素晴らしい発明品だって作れるはず。

おばあちゃんがくれた拡縮自在のリュックサックにガラクタ発明品を目いっぱい詰め込んで、ニーナはクノッフェン行きの馬車に飛び込んだ。果たして思惑通り、よい素材さえあれば素敵な発明品を作れるのだろうか、そして発明品を皆に認めてもらえるのだろうか。ニーナの頑張り物語がここに始まる。

主な登場人物

  • ニーナ
    本作の主人公である錬金術師の少女。田舎育ちで世間知らずなところはあるものの、錬金術にかける情熱は本物。みんなを驚かせるような大発明をすることが目標だが、どうにも個性が過ぎるものばかり出来上がってしまう。素材愛も強く、ひとたび採取をはじめると止まらない。
  • シャンテ
    魔法使いの少女。クノッフェン行きの馬車のなかでニーナと出会い、一緒に行動することとなる。戦闘能力は高いものの、生まれつき魔力量が少ないために魔力切れになりがち。しっかりした性格で旅慣れており、世間知らずのニーナをフォローする。
  • ロブ
    人間の言葉をしゃべることができるミニブタ。シャンテと行動を共にしているものの、使い魔というわけでは無いようだが… 態度が大きく、お調子者で食いしん坊。

錬金術といったら魅力的なアイテムは欠かせない

自分、アトリエシリーズにはどっぷりとハマった過去があり、第一作のザールブルグから黄昏シリーズまではリアルタイムでやり込みました。一番好きなのはヴィオラートで、極上品質のグラビ石から「街道ひとっとび」のフライングボードが初めて調合できたときの感動は忘れられません。やっぱり錬金術ものといったら、魅力的なアイテムが山ほど出てきてなんぼだと思います。

この点において本作は百点満点の完璧です。序盤に限っても、7回も勝手に曲がる稲妻をはなつ「七曲りサンダーワンド」、むせかえるほど辛いけど元気が湧いてくる「激辛レッドポーション」、手鏡に移ったものそっくりの人形をつくる「マジカルミラーZ」などなど、次々と個性的で刺激的な発明品が登場します。錬金素材についても、「プリズムリーフ」、「メーデスの人喰い馬の蹄」に「風の結晶体」などなど、素敵な雰囲気をまとうものがたくさん。錬金術好きな方は、次々と登場するアイテムにわくわくすること間違いなしです!

挫折と成長を繰り返しながら少しずつ前に

ニーナは夢こそ大きいものの、実力は駆け出し錬金術師であって、俺TUEEEなチート錬金スキルなどは出てきません。そんな地道なステップアップも本作の魅力の一つです。

錬金術師が集まる都会に行きさえすれば、すごい発明ができて皆に認められるような気がして、ニーナはクノッフェンに辿り着きますが、自慢のガラクタ発明品は魔法雑貨店で完膚なきまでにダメだしされ、大枚をはたいて高級素材で起死回生の発明を目指すも大失敗と、まったく良いところがありません。まさに現実通りで、そこにはご都合主義の救済はありません。「ビックになるために東京に出てくる」のと同じ顛末ですよね。

ただし、ニーナは挫折しても立ち上がり、失敗した理由をしっかりと考えて、次の成功につなげようと努力を続けていきます。この常に前を向いてがんばるニーナの姿も本作のおすすめポイントであり、何かと辛いことの多い日々の生活にしっかり向き合う勇気がもらえるような気がします。

また、よくある「がんばり物語」だと暗めで辛め展開になりがちな傾向がありますが、本作ではニーナのキャラクターと作者さんの筆力に支えられて、明るく前向きなストーリーとして描かれている点も素晴らしいです。

 

錬金術ものが好きな人には間違いなくオススメです。素敵な発明品や素材を一緒に愛でましょう! 明るくがんばるニーナの姿に元気をもらいたい方にもぜひ読んでもらいたい作品です。

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