【書評】コミカライズ！『異世界転移、地雷付き。』のレビューとおすすめポイント（いつきみずほ）

いつきみずほさんの作品、『異世界転移、地雷付き。』をレビューします。

本作を特にオススメしたい人はこちら！

スローライフなファンタジーが好きな人
キャラクターの着実な成長を眺めるのが好きな人

チートスキルに頼らないリアルな異世界生活

いつきみずほさんが小説家になろう、カクヨムに投稿されたクラス異世界転移もののファンタジー小説で、書籍化・コミカライズされた人気作品です。

この小説は、交通事故で死んでしまったクラスメイトたちが、邪神を名乗る神によって異世界に転移させられるところから始まります。転移前にスキルを選ぶことになりますが、リストにはスキル強奪や経験値2倍といった定番のチートスキルも。ところが、チートスキルには地雷と呼べるデメリットが隠されていたのでした…

チートスキルに頼らずに着実にステップアップしていく主人公たちの織り成す、リアルな異世界生活がとても魅力的な作品となっています。取得したスキルに知恵と工夫と協力をプラスして、少しずつ強くなっていく様子は、クラス転移好きだけでなくスローライフが好きな人にも刺さるのでは。

投稿サイト：「小説家になろう」、「カクヨム」
2017年12月投稿開始、連載中。23年11月時点で約230万字。
KADOKAWAドラゴンノベルズより書籍化。現在9巻まで出版。
角川コミックス・エースよりコミカライズ。現在2巻まで出版。

作品へのリンクはこちら（小説家になろう）

リンク

あらすじ

「やあ！　僕、邪神！　でも、悪い邪神じゃないよ！」
不慮の事故で死んでしまった俺たちクラスメイトを転移させたのは、そんなことを言う邪神（仮）。
希望のスキルを作ってくれてサポートもバッチリ。これって邪神じゃ無いよな？
――そんな風に思った時もありました。
甘かった。安易にチートで無双とか考えたクラスメイトはたぶん、残念な結果が待っている。
だって、彼はチートなんて無いと最初に明言していたのだから。
自業自得なんだろうけどな。
俺？　俺は幼馴染みたちと、堅実にのんびり生きていきます。ゲームっぽい世界でも、ゲームじゃ無いんだからさ。
「小説家になろう」本作ページより引用

登場人物のざっくり紹介

ナオ/神谷尚史：この小説の主人公で、転移時にはエルフを選択。幼馴染のハルカとトーヤとともに、堅実に異世界での生活を送ることを決める。転移時に「ヘルプ」というスキルを選択したことで地雷スキルを回避。時空魔法は大器晩成型。
ハルカ/東悠：ナオの幼馴染で本作ヒロインの一人。転移時にはエルフを選択。しっかり者で美人で武道の達人であり、転移後もナオと一緒に行動して彼のサポートをする。
トーヤ/永井知哉：ナオの幼馴染。選択しました。ナオと一緒に悪ふざけをして、ハルカに叱られる仲。獣耳の嫁が欲しいという理由で狼系の獣人を選択したが、なかなか出会えずにいる。「ヘルプ」に気づかなかったが、地雷スキルを何とか回避。

じっくりとスキルを活用

王道チートスキルが軒並み地雷となっている本作。一般的なスキルの仕組みを考察して活用し、少しずつ成長していく様子が楽しいです。

例えば、異世界転移に定番のマジックバックやアイテムボックスですが、もちろん本作でははじめから主人公たちは手にしていません。狩り効率の向上を目指し、「時空魔法」と「錬金術」を組み合わせてマジックバック作成を目指すのですが、まずはスキルを扱うための魔法書を手に入れるのに相当苦労し、何とか出来上がったマジックバックも中途半端なもの。

そこから試行錯誤を繰り返して、軽量化・容量拡大・時間遅行付きのいわゆるマジックバックを完成させ、さらなる便利さを目指して、特定の用途に特化型したマジックバックを作り上げていきます。

このマジックバッグ作りに関しても、一気に進むのではなくて、日常の冒険と並行して考察が進んだり、新しい要望が出たりしてじわじわと出来ていくのがまたいいんです。スローライフ好きにはたまりません。