『流星の占星術師と少年』 未来を見つめる占星術師と弟子の温かい日常(ペケさん)

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感想とおすすめポイントまとめ

  • 凄腕の占星術師ノーラと弟子の少年ケイとの日々の暮らしを描くお話。徐々に大きな流れに巻き込まれそうな予感。
  • 作品の世界観をノーラの日常生活を通してゆっくりと描いていく手法に好感が持てる。今後の展開に期待。
  • 占星術をテーマに据えた独特の世界観に興味のある人、無自覚お姉さんと純情少年のおねショタものを読みたい人におすすめ。
  • 連載中、第36話終了時点でおおよそ小説1冊弱のボリューム

占いが重要な世界に生きる凄腕お姉さん占星術師

ペケさんが「ノベルアップ+」にて連載中の作品です。2019年12月に連載が開始され、第1章の完了をもってしばらく休止されていましたが、この6月から第2章の投稿が再開されました。現在審査中の「第2回ノベルアップ+小説大賞」の2次選考通過作品でもあります。

本作『流星の占星術師と少年』は異世界転生無しのファンタジー作品です。第1章は流星(メテオ)の称号を持つ凄腕の錬金術師であるノーラと弟子として迎え入れた少年ケイとの日常生活を中心に描かれています。展開を急ぐことなく1章をまるまる使って、「この世界での占いの役割」、「ノーラの立ち位置」、「占星術師の能力」といった独自の世界観を、日常のストーリーと絡めつつ描いた点が素晴らしいと思います。

妙齢のお姉さんであるにも関わらず自身に無頓着なノーラと、純情で真面目なケイとの間で繰り広げられるおねショタ要素も魅力のひとつでしょう。ケイが寄せる思いにノーラ本人だけが気づいていないというお約束の展開ですが、ついつい応援したくなってしまいます。

第1章のストーリーはノーラの住む地方の町での出来事が中心でしたが、今後の展開にむけた伏線も色々と示されており、第2章以降はノーラたちの活躍の舞台が世界に広がっていくと思われます。続きを楽しみにしています!

オススメ度とおすすめしたい人

おすすめ度(36話時点)

★★★(星3つ、今後の展開に期待)

★5つで満点。かぴばーの個人的好みに基づいたスコアです。

おすすめしたい人

占星術師の活躍する独特の世界観に興味のある人、転生や無双チート無しのファンタジーを読みたい人、無自覚お姉さんと純情少年のおねショタが好きな人

あらすじ

『流星』の占星術師ノーラは、弟子のケイと共に街外れの森の中で暮らしている。占いが重要な意味を持つこの世界では占星術師のトップたる『流星』の権威は相当なものだが、ノーラはいつでもマイペース。国王自ら占星術の依頼をしてくるほどの凄腕である一方で、時間にも服装にも無頓着なために朝起こしにくるケイをいつも赤面させている。

弟子のケイの修行をしつつ、トラブルで壊れてしまった観測塔と天体望遠鏡の修理を進める穏やかな日々を送るが、その実力ゆえに国を巡る陰謀に巻き込まれていく…

主な登場人物

  • レオノーラ(ノーラ)
    本作の主人公。占星術師のトップである『流星』の称号を祖父から引き継いでいる。その実力は非常に高く、星の見えない昼間であっても記憶した星図をもとに占星術を行うことができるほど。災害をもピタリと予測するその能力は国王からも高く買われている。ただし、体力は全然なく戦闘面はからっきし。
  • ケイ
    ノーラの弟子の少年。住んでいた孤児院が廃止となり、空腹に耐えかねてノーラの財布を盗もうとしたのが縁で弟子となる。ノーラの占星術では「よい出会い」とでていた。家事を完璧にこなす上に占星術の習得にも真面目に取り組む。森で拾ってきた不思議な獣「モコモコ」を飼っている。
  • シャーリー
    数少ないノーラの友人の一人。街の酒場で働いており、ノーラが訪れた際にはミルクを振舞って世間話をするのが習慣。ノーラとケイの仲をからかうが、ノーラには全く響かずにケイが赤面するのみ。

スロースタートに挑戦する意欲作

ネット小説で読者を集めるためには、目を引くタイトルを付けつつ序盤をいかに華々しい展開とするかが重要です。毎日極めて多数の作品が投稿される現状では、初期のスタートダッシュのタイミングでランキング上位に載らないことには、そもそも手に取ってもらうことすら難しいからです。結果として、既にラノベの定番ともなった長文タイトルが付けられ、「転生無双もの」のように冒頭から読者を刺激する展開が続く作品がランキング上位に名を連ねることになります。

ただし、このような作品構成は諸刃の刃でもあります。初期にクライマックスが来てしまい、物語を膨らませることができずに失速してしまったテンプレ展開の作品はいくつも挙げられます。冒頭の爆発力と、それを許容できる世界観を両立することは非常に難しいのです。

本作はこのネット小説のテンプレの逆をいくストーリー展開であり、第1章のおおよそ10万文字強を作品の世界観を描くことに割いています。本作のテーマであるノーラの占星術ですら、初めて本格的に使う様子が描かれるのは第5話であり、ストーリーに深く関わる占いを行うのは更に物語が進んでからです。

テンプレからするとスロースタートですが、ノーラの日常生活を通じて独特な世界観が徐々に語られるので、自然にストーリーに入り込めるメリットを感じました。冒頭からジェットコースター的にイベントが進行していく無双転生系に対して、本作では色々なものが少しずつ見えてくることから、読者の立場からも今後の展開に思いを馳せることができます。

地ならしを終えたノーラの更なる活躍に期待

第1章は紹介と準備の章でした。ノーラはケイとモコモコという仲間を得るとともに、壊れていた観測塔と天体望遠鏡の修理を終えて占星術師としてフルスペックで活躍できるようになりました。この世界における占いや占星術の立場が示され、章終盤の事件では国家間の諍いも示唆されています。

このベースをもとに、第2章以降ではノーラと仲間たちは田舎の森を飛び出して世界へ羽ばたいていくものと思います。ノーラ達以外にも魅力的なキャラクター達のストックが多数あり、四占やモコモコといった様々な伏線も準備されているので、第1章の貯金分だけ大きく物語を進展させる素地がしっかり整っています。

「未来は知ることで、変えることができる」、今後のストーリーを楽しみにしています!

 

占星術をテーマとして独特の世界観に特徴のある作品です。ノーラとケイの日常はとても温かく、おねショタ抜きにしても応援したくなります。全力の占星術のこれからの活躍が楽しみな作品です。

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