『メイドなら当然です。~地味仕事をすべて引き受けていた万能メイドさん、濡れ衣を着せられたので旅に出ることにしました。』 本当に欲しかったもの(三上康明)

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三上康明さんの作品、『メイドなら当然です。 ~ 地味仕事をすべて引き受けていた万能メイドさん、濡れ衣を着せられたので旅に出ることにしました。』 をレビューします。

  • 無実の罪で勤め先の伯爵家を追われてしまったスーパー万能メイドさんが、行く先々でその能力を如何なく発揮して人助けをしていくお話
  • 真っすぐで飾らないメイドさんの様子が清々しい。同行する仲間たちも定番構成と思わせつつも作り込みが深く、メイドさんとの関係性の尊さもよし


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真っすぐで真摯なメイドさんに癒されよう

三上康明さんが「小説家になろう」に掲載されている作品です。既に完結済みですが、連載中は激戦の小説家になろうランキングで上位を常にキープされていた人気作です。

作者の三上康明さんは『学園騎士のレベルアップ!』などの多数の書籍化、コミカライズ作品をお持ちの著名作家さんですね。本サイトでレビューさせていただいた『裏庭ダンジョンで年収120億円』も三上さんの作品です。短期間に様々な世界観の作品に取り組まれ、しっかりと完結まで書き上げる筆力には脱帽します。

本作も書籍化が決定されたとのこと、おめでとうございます!

主人公のニナは凄腕の万能メイド。その類まれなメイド力で伯爵家を裏から支えていたにも関わらず、無実の罪をかぶせられて解雇されてしまいます。そんな時に聞こえてきたのは、商業都市行きの乗合馬車の客引きの声。ニナは新しい世界に飛び立つことを決意します。一方で、ニナが抜けてしまった伯爵家では少しずつ歯車が狂い始めて…

常に真っすぐなニナの生き様に心の芯から癒される作品です。スーパーメイドさん無双ではあるのですが、爽快感はありつつも嫌味にはならない絶妙のバランスとなっているところに、作者さんのキャラクター構成の腕が光ります。また、ニナが去った後のお屋敷ではざまぁ展開が待ち受けているもののコミカル調にまとめられており、作品全体の明るく前向きな雰囲気とよく合わせられています。

また、仲間1人のエピソードごとに章立てされており、各章で起承転結がはっきりとしているので、読者視点からして非常に分かりやすく読みやすい構成となっている点も魅力ですね。

3章+エピローグの約12万字でしっかりと完結しており、ちょっと元気が欲しいときに読むのにバッチリの作品です!

  • 投稿サイト:「小説家になろう」
  • 21年9月投稿開始、完結済み
  • 約12万字、単行本1冊程度のボリューム


同一作者さんの作品レビューはこちら!

おすすめ度

完結時点

★★★★(星4つ、おすすめ!)

★5つで満点。かぴばーの個人的好みに基づいたスコアです。

あらすじ

「早く出て行ってください。あなたのように地味な顔立ち、野暮ったいメイドはこのお屋敷に似合わないと思っていましたから」

屋敷の主人が大事にしていた壺が割れてしまった。その罪を——濡れ衣を着せられてクビになったのは、地味で小さなメイド「ニナ」だった。

ニナは周囲からあまり理解されないながら、お屋敷のあらゆる地味仕事をこなしていた。
ちらかった作業具の整頓。主人一家やお客様の好みに応じた調味料や食材の仕入れ。雑なメイドのやり残した掃除。気分の乗らないお坊ちゃまお嬢様を勉強させること。美術品の贋作返品。季節もの衣類のメンテナンス。etcetcetc……
ニナがいなくなって、一見お屋敷はなにも変わらなかった。それが少しずつ崩壊していくのだが……それはもうニナには関係のないことだった。

メイドとして働くことがすべてだったニナは、ふと気が向いて観光の旅に出ることにした。
そしてその先で「不運な」少女たちと出会うことになる。

異常な魔力量を誇るのに上手に扱えない、魔導士のエミリ。
すばらしく頭がいいのになぜか実験が成功しない、発明家のアストリッド。
食事が合わずにお腹を空かせて全然力が出ない、月狼族のティエン。

少女たちは万能メイド、ニナのおかげで自分たちのほんとうの力を出せるようになった。
その力を結集すると、軽く軍隊レベルに匹敵してしまうのだが……それをニナが知ることはなかった。

「小説家になろう」本作ページより引用

メイドさんが心の奥底で欲しかったもの

ニナの仲間たちは、皆チートレベルの潜在能力を持っているにも関わらず真価を出せずにいたところを、ニナのサポートによって本来の力を発揮できるようになります。ただし、徒に一方的な無双展開ざまぁ展開とすることなく、あくまで仲間たちの、そしてニナの心の成長・救済に焦点を当てているところが本作の特長であり魅力だと思います。

たとえば、第一章の主役のエミリ。ニナの手助けで強力な魔法を使えるようになりますが、そこからボスモンスター攻略無双が始まるなどといったことは全くなく、今までの自分にケリをつけた上で新たな生きがいを見つけることになります。

更に、スーパーメイドによる仲間たちの救済物語だけで終わらず、最後にニナの気持ちに焦点を当てているのが本作のよいところ。ニナが本当は欲しかったものは何なのでしょうか。ぜひ本作を読んでみて下さい!

小説1冊分のボリュームで、ニナの魅力と大団円のストーリーを満喫できる素敵な作品です。

  

いつも笑顔のニナに元気をもらいました。

書籍版ではネット公開の先までストーリーが続くのでしょうか?

楽しみにしています!

  


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