本記事では、2019年~2020年に掲載が開始された比較的新しい小説の中から、自分が特におすすめする作品を紹介します。
個別作品のレビュー記事にて、かぴばー評価を最高の★★★★★とさせて頂いた作品をピックアップしています。前回1月掲載のおすすめ小説まとめの後、新たにレビューした5つの作品を3月追加分としてまとめました。
この記事がフレッシュな名作に巡り合いたい皆様の参考になればうれしいです!
オススメ小説まとめは以下の記事からもどうぞ。 新作の小説を紹介しています!
『引き籠り錬金術師は引き籠れない―何だか街が発展してるみたいだけど家でのんびりさせて下さい―』
- 凄腕だが極度のコミュ障の錬金術師と、彼女の言動を何かと深読みしすぎる仲間たちとが絶妙に噛み合い、領地が発展していくお話。
- 文章の楽しさを味わえる作品。主人公セレスの素直な思いと、深謀遠慮しすぎな周囲の対比が最高に面白い!
- 書籍化作品、ドラゴンノベルズより小説版が発売中!
四つ目さんが「小説家になろう」、「カクヨム」にて連載中の作品です。
凄腕の錬金術師であるにも関わらず、人前に出ることが全くもって苦手なために実家で引きこもり生活をしていた主人公セレス。見かねた母に、着の身着のままで見知らぬ街に置き去りにされてしまったところから物語はスタートします。錬金術師としても冒険者としても卓越した実力を持つセレスは、調合依頼や魔物討伐で日銭を稼ぎ、平穏にのんびり引き籠り生活をしようとしますが…
セレスが人前では緊張で目つきが極めて鋭くなってしまうという設定が本作の肝。セレスはコミュ障をおして頑張って依頼をこなしているだけなのに、周りの人々がセレスの険しい表情を見て「言葉の裏の要求があるのでは」とか「別の狙いを隠しているのでは」などと勝手に深読みしてしまうのが面白いところです。
セレスは自分がのんびり暮らすことだけを考えているのに、周囲の深読みが見事に噛み合っていき、街のみならず国を揺るがす変革につながっていきます。セレスと相手との間の大きすぎる認識のギャップは、読んでいてたまらないポイントです!
詳細な書評は以下をご覧ください。
『町家暮らしとエルフさん -リノベしたら庭にダンジョンができました-』
- 主人公がバルに改装中だった町家がダンジョンに繋がってしまい、そこから現れた異世界エルフ少女とダンジョン攻略しつつ美味しい料理も満喫するお話
- 異世界のダンジョン知識や魔法、現代日本の知識や料理を通して少しずつ交流を深めてゆく、ゆったりと流れる時間がとても気持ちいい作品。作者さんの深い知識に基づく料理の数々は本当に美味しそう!
一菜|みみたぶさんが「小説家になろう」、「カクヨム」で掲載中の作品です。
主人公の将平はイタリアンをはじめとした南欧料理のシェフ。京都の町屋をレストランへと改装していたところ裏庭に突如として大穴が空き、そこから異世界に住むエルフの少女ミミルが出てきます。元の世界に戻れないミミルは将平の店に居候することになり、京都とダンジョンを行き来する不思議な異世界交流生活が始まります。
将平とミミルの間でゆったりと流れる時間が読んでいてとても気持ちいい作品です。現実世界では将平がミミルに現代の科学や技術を教える一方で、ダンジョンではミミルが将平に魔法や攻略を指導し、そして将平が腕をふるった料理を2人で美味しく頂く。決して派手な展開ではないのですが、読んでいてぽかぽかと幸せな気持ちになります。
ダンジョン探索、料理にレストラン、そして将平とミミルの交流と、楽しみがいっぱい詰まった贅沢な作品、興味を持たれた方はぜひご一読を!
詳細な書評は以下をご覧ください。
『特級探索師への覚醒~蜥蜴の尻尾切りに遭った青年は、地獄の王と成り無双する~』
- 生命の危機に瀕して強大な能力に目覚めた主人公が、世界最強へと上り詰めていくお話。
- 最強の天職を得たことで、レベルアップごとに大きく成長して世界が広がっていくのが最高に気持ちいい!
- ローファンタジーものとして万人におすすめの作品。スキル成長ものが好きな人にはど真ん中間違いなし
笠鳴小雨さんが「小説家になろう」、「カクヨム」にて連載中の作品です。
本作の舞台は、世界中にダンジョンが生まれ、人々が「天職」とよばれる能力を持つ世界。主人公のテンジはダンジョンに挑む「探索師」の卵ですが、能力に恵まれずに荷物持ちに甘んじています。そんなテンジが、思いがけない強敵との遭遇、瀕死の戦いを経て「特級天職」とされる超強力な能力に目覚め…
よくある能力チートものとは異なり、「特級天職」といえども初期能力が低いのがポイントです。強力な天職ほどレベルが上がりにくいこともあって、「特級天職」を得てもテンジの苦労は続きます。ただし、その分だけ1つのレベルアップの恩恵が非常に大きく、一気にできることが広がるカタルシスは最高の一言。成長のバランスが絶妙で、とても気持ちよく読み進めることができます。
ローファンタジーものとして万人におすすめでき、特にスキル成長ものが好きな人にはたまらない作品となっています!
詳細な書評は以下の記事をご覧ください。
『聖女様に醜い神様との結婚を押し付けられました』
- 無能神とよばれる醜い神様に聖女として仕えることになった主人公エレノアが、様々な出来事を通して神々と人間との関係を少しずつ変えていく恋愛・ヒューマンドラマ。
- 心理描写が非常に素晴らしい作品。人間に半ば興味を失った神様たちと、心に様々な思いを抱える人々の在り方の違い、そしてエレノアが人間らしさを抱えながら架け橋となっていく展開が深い。
村川咲さんが「カクヨム」にて連載中の作品です。
本作の舞台は神々が人間とともに暮らす世界。主人公エノレアは幼馴染みの聖女アマルダの代役として聖女となるのですが、担当するのは無能神と呼ばれ不定形スライム状の醜い神様でした。後ろ向きな気持ち一杯で聖女としての生活をスタートしたエノレアは…
神様たちと人間たちの関係や心理描写を中心としたヒューマン(+神様)ドラマ小説です。普段あまり読まないジャンルなのですが、エノレアの活き活きとしつつも弱さも抱える人間らしさ、自己中心な人間に冷めた神様たち、そして懸案となる聖女アマルダと、キャラクター描写の瑞々しさに引き込まれて一気読みしてしましました。
神様と人間の恋愛は昔からのテーマですが、エノレアとクレイルの関係のみをふわふわと描くのではなくて、神様たちと人間たちの関係、人間の弱さや悪意といった背景含めてしっかりと設計されている点が素晴らしい作品です。
詳細な書評は以下の記事をご覧ください。
『黒檻の探索者 ~『吸収/成長』の魔剣と死の巫女の謎~』
- 記憶を無くして転生した主人公が、成長する剣を片手に「黒の世界」を探索するお話。
- 古き良き時代のRPGを彷彿とさせるシステムが魅力。少しずつ成長を重ねつつ拠点を充実させ、新しい場所の探索を進めるという分かりやすい楽しさ
- 物語の構成が非常によく練られており、自分が冒険を進めているかのような一体感・没入感が感じされる。RPG好きにオススメ!
迷井豆腐さんが「小説家になろう」、「カクヨム」にて連載中の作品です。
探索系RPGを彷彿とさせる世界を舞台とした小説です。大きな特徴となるのがスキルの扱い。敵を倒すことで得られるスキルの活用が攻略の重要ポイントとなるのですが、スキルがセットできる数が制限されているのです。
この設定に作者さんの巧みな文章構成が相まって、スキル構成や新スキルの活用方法を考えながらまるで主人公と一緒に冒険をしているような気持ちになれることが本作の素晴らしいところです。上質なゲーム実況を見ている感じといったら伝わりそうでしょうか。古い人間の自分は、子供の頃にはまったゲームブックを思い出したりしていました。
ストーリー展開も秀逸で飽きさせません。探索・成長ものでありがちな単調なルーチン展開と無縁な点も本作のおすすめポイントです。
詳細な書評は以下の記事をご覧ください。
かぴばー評価の説明と個別記事のおすすめ
個別作品のレビューは、かぴばー評価が★★★~★★★★★の範囲で作成しています。実際には個別レビューした作品の数倍の小説を読んでおりますが、個人的にオススメできると感じた作品をピックアップして記事にしています。
★の数の意味合いとしては以下のイメージです。基本的には最新話まで読み切った上でレビューをしています。
★★★: 面白くて最後までついつい一気読みしてしまう
★★★★: ハマって睡眠時間返上で読み切った上、新規投稿を日々待つ
★★★★★: 星4に加え、ざっくり刺さる設定や展開に感動する
特に星4か星5かについては個人的な感性の部分が大きいと思いますので、本記事のおすすめ作品と波長が合いそうな方は、ぜひ上記以外の個別作品のレビューにも目を通していただけると嬉しいです!
オススメ小説まとめは以下の記事からもどうぞ。新作の小説を紹介しています!