『神の庭付き楠木邸』 神様たちとまったり過ごす長閑な日常(えんじゅ)

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えんじゅさんの作品、『神の庭付き楠木邸』 をレビューします。

作品の概要とおすすめポイントはこちら!

  • 無自覚ながら強力な祓いの力を持つ主人公のもとに、次々と集まる神様たちと一緒にまったり平和な日常を過ごすお話。
  • 日本の神々の人間くさくも威厳ある雰囲気がよく描かれており、神様たちと主人公の距離感が心地よい。主人公の能力も日常ものにピッタリのセンスのよさ。

 

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和の神様たちとのどかに過ごす日常

えんじゅさんが「小説家になろう」に投稿された小説です。4月に投稿を開始されて1ヵ月あまりで本編完結を迎えました。5月末現在、なろう月間ランキングの上位に載っていることから、多くの方がこちらのお洒落タイトルをご覧になっていると思います。

主人公の楠木湊は田舎の外れの一軒家の管理を任されます。実は悪霊憑きのいわくつきの家だったのですが、湊が強力な祓いの力を秘めていたことから瞬く間に快適な住処に。自身の力に無自覚な湊は、何も気づかずに初めての一人暮らしをスタートしますが、そんな湊のもとに隣の山に棲む神様が訪れ始めて…

神様たちと湊の距離感の気持ちいい日常系のお話です。湊のもとを訪れるのは純和風の神様たちなのですが、人間くさくもありつつも、とても自由で、でも時に厳かで。日本の神様の魅力がぎゅっと詰まったお話となっています。やっぱり距離は近すぎても遠すぎてもイマイチで加減が難しいですよね。丁度よい塩梅に収めた作者さんの筆力が光っています。

主人公の湊の立ち位置もばっちりです。湊の祓いの力の源泉は、彼の書く「文字」。湊自身は戦闘能力が高いわけではないので無双展開には進むことなく、祓いのお札を書きつつ、神様たちと一緒にのどかに家での日々を過ごすことになります。これぞ理想的な日常もの展開ですね。

ストーリーは約11万字で本編完結を迎えていますので、もふもふ神様に興味があったり、日常系が好きな方はぜひ手を伸ばしてみてはいかがでしょうか。神様たちに魅せられつつ、あっという間に読み切ってしまうこと間違いなしです!

  • 投稿サイト:「小説家になろう」
  • 21年4月投稿開始、完結済み
  • 本編完結時点で約11万字、小説およそ1冊分のボリューム。

 

おすすめ度

本編完結時点(2021年5月)

★★★★(星4つ、オススメ!)

★5つで満点。かぴばーの個人的好みに基づいたスコアです。

あらすじ

とある山間の一角にポツンと建つ曰く付き一軒家の管理を任された楠木湊。着いてすぐ家に巣食っていた大量の悪霊を自覚なしの祓い能力であっさりと一掃。多少の違和感程度で済んでしまう。

さして問題もなく過ごしていれば、ひっそりと表門前に置かれていた新鮮な山の幸の数々。

周囲に民家はなく、あると言えば隣の山だけ。

これは一体、誰からのお裾分けなのか。

「小説家になろう」本作ページより引用

人間らしくも威厳たっぷりの神様たちが魅力

登場する神様たちの魅力にあふれる作品です。

湊が住み始めた一軒家は田舎の外れにあり、大きな日本庭園が付いています。湊の祓いによって力を取り戻した神様たちが、そんな庭に一柱、また一柱と集まって、いつの間にかタイトルにある「神の庭」と呼ばれるようになっていきます。はじめは大きな家に一人暮らしで寂しそうにしていた湊が、いつも間にか家族に囲まれるように寛いで暮らしているのがまた素敵です。

肝心の神様たちは個性にあふれていて目が離せません。例えば、和菓子に目がなくて情報誌を読み漁る神様がいたかと思えば、お酒に目がなくて神力までつかってレア日本酒をゲットする神様や、洋菓子の匂いが気になって動けなくなってしまう神様もいます。なんか食べ物ばかりですね(笑)

そんな可愛らしい一面を見せる一方で、失礼な相手には冷徹に牙を剥いたり、気まぐれで明後日な奇跡を起こしたりもします。このあたりの人間の枠にはまらない「神様らしさ」の表現がとても自然で秀逸でした。ちょっと自分の文章力ではすごさの表現が難しいので、ぜひ実際に小説を読んで味わってみて頂ければと思います。

神様たちを単純に楽しい同居人として描くのではなく、あくまで神様として適度な距離感をもって描かれているのがとても心地よいです。

 

日常ものにぴったりの湊の能力

主人公の能力の設計もとてもよく出来ています。

湊の書いた文字には非常に強い祓いの力が込められていて、買い物メモを持って歩いているだけで、飛び掛かってきた強力な悪霊を返り討ちにしてしまうほどです。ただ本人には神様をはじめとした善きものは見えても、悪霊は全然視えないというのがポイント。ここで悪霊も感知できてしまったが最後、湊がお札を振りかざして神様と一緒に悪霊を退治してまわる陰陽師無双ものになってしまったでしょう。

この仕掛けのおかげで、湊は神庭にこもって悪霊退治用のお札を書きつつ、神様たちと長閑に過ごす日常ものが成立します。外では湊のお札を巡って騒動も起こったりもしますが、湊と神様たちはまったり平常運転。ある神様の気まぐれで湊が風を操る力を授かったりもしますが、バトルに使われる気配はなく、ヘアドライヤー代わりですよ。日常ものここに極まりです。

小説サイトのタイトルを見ると「本編完結」とのことですので後日談がもう少しあるかもしれません。神様たちと湊のまったり日常の続きを読むことができるのを楽しみにしています!

 

やさしいストーリー展開に落ち着いた文章構成で、読んでいて何だか温かい気持ちになれる作品です。

ちょうど読み切りやすい長さですので、気になった方はぜひ!

  

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