『悪役令嬢(ところてん式)』 へっぽこ悪役令嬢と女子ゲーマーのドタバタ二人三脚(なみあと)

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感想とおすすめポイントまとめ

  • 乙女ゲームの悪役令嬢となった女子ゲーマーと、押し出されてゲームの主人公の中に入ってしまった悪役令嬢の繰り広げるドタバタ劇
  • 悪役令嬢もののテンプレをへし折るコメディー展開を楽しみつつ、主人公と悪役令嬢の間に芽生える絆に癒される
  • オリジナリティーあふれる明るいコメディータッチの悪役令嬢ものを読んでみたい人、最近笑顔が足りない人におすすめ
  • 第1章完、小説1冊分のボリューム。現在、第2章がスタート。7月22日にHJノベルズより書籍化!

コメディータッチで綴る新感覚の悪役令嬢もの

なみあとさんが「ノベルアップ+」限定で連載中の作品です。第1回ノベプラ大賞にてノベラ賞を受賞した作品で、来る7月22日にはHJノベルズより書籍版が発売される予定です。これだけでも小説の面白さは折り紙付きですね!

本作は悪役令嬢もの。自分はあまりこのジャンルがあまり得意ではなくて途中で積んでしまうことも多いのですが、こちらの作品は半徹夜ですぐに読み切ってしまいました。

特徴的なタイトルの「ところてん式」ですが、本小説の主人公であるゲーマー女子大生が乙女ゲームの悪役令嬢に入り込んでしまい、ところてん式に押し出された悪役令嬢の精神が乙女ゲームの主役に入り込んでしまったという設定のことを指しています。この押し出された悪役令嬢がポンコツでツンデレで本当に可愛いんです!

しっかりと計算されたストーリー構成もさることながら、2人の掛け合いを見ているだけでとても笑えて癒されるので、元気になれる小説を探している人にもおすすめの作品です。

現在、第1章が完了して第2章の連載がスタートしたところです。第1章できちんとストーリーが完結していますので、完結済み小説を探している方にもバッチリです。

オススメ度とおすすめしたい人

おすすめ度(第1章終了時点)

★★★★(星4つ、おすすめ!))

★5つで満点。かぴばーの個人的好みに基づいたスコアです。

おすすめしたい人

新感覚の悪役令嬢ものに挑戦してみたい人、悪役令嬢ものにはあまり波長が合わなかった人、コメディータッチのドタバタ展開が好きな人、小説で笑って元気になりたい人

あらすじ

友人から勧められたVR乙女ゲームをプレイし始めた女子大生のコノミ。気が付くとゲームの世界に入り込み、悪役令嬢役であるアイリーンとなってしまっていた。おまけに本来のアイリーンはところてん式に押し出されて、プレイヤーキャラクターであるゲームの主人公シャーロットの中に入り込んでしまったらしい。

ゲームをクリアして現実世界に戻るためには、悪役令嬢が中身のシャーロットを上手く操作してフラグを立てていく必要がある。ところがどっこい、この悪役令嬢は思った以上にへっぽこで…

「難易度高いな!」 コノミは嘆きつつもアイリーンと一緒にひた走る。巻き起こるドタバタ劇を越えて、コノミはそのゲーマー魂でゲームクリアに辿り着くことはできるのだろうか?

主な登場人物

  • コノミ
    本作の主人公であるゲーマー女子大生。乙女ゲームは守備範囲外であったが、後輩女子から勧められてプレイしてみたところ、ゲームの世界に入り込んでしまう。ゲーム内では、プレイヤーキャラクターのシャーロットではなく悪役令嬢のアイリーンに。常識人に見えるがゲーマーの血が騒ぐと暴走しがち。
  • アイリーン
    乙女ゲームの悪役令嬢役だが、コノミに押し出されてシャーロットの身体に入ってしまった。テンプレの悪役令嬢とは異なり、性格にだいぶ難はあるものの根は愛すべきキャラ。そのポンコツぶりで、コノミが立てるフラグを端からへし折っていく。「おーほほほほほ引っかかったわね!!」
  • ウィン
    悪役令嬢アイリーンの従者。その腕は確かであり、コノミの入れ替わりを即座に見抜く。アイリーンを想う気持ちの分だけ、何かと素が出がち。「どう見ても外に出したらヤバいやつじゃないですかあの性格」

フラグとはへし折るもの!

「悪役令嬢」といえばネット小説の一大ジャンル、悪役令嬢に転生して生き残りを目指すも、実は主人公キャラが黒幕で…といった流れがテンプレートでしょうか。やり込みゲーマーが転生者の場合は、フラグ管理を大事に生存ルートを目指していく展開が王道です。

本作ですが、主人公のコノミが悪役令嬢のアイリーンになった際に、押し出されたアイリーンがゲーム主役のシャーロットに入ってしまったという2段構えの点がオリジナルなところ。コノミはゲームクリアを目指して、シャーロット(中身アイリーン)と男子攻略キャラとの間の恋愛フラグを立てるべくシチュエーションを整えるのですが、アイリーンがそのポンコツ悪役令嬢ぶりを存分に発揮して、片っ端からフラグをへし折っていくところが大きな見どころです。

かたや真人間に見えるコノミもガチゲーマーであり、ゲームが絡むと突然暴走するところはご愛敬。アイリーンとコノミの良くも悪くもバランスの取れた二人三脚で、目の前の恋愛フラグを余すところなく刈り取っていきます。コノミは果たしてゲームクリアできるのか…?

爽快な読み心地が魅力!

アイリーンとコノミ、時々ウィンの軽妙な掛け合いは本当に楽しく笑わせてもらえます。悪役令嬢ものは真の悪役が存在することが多くて何かとドロドロしがちですが、本作はアイリーンをポンコツ設定とすることで見事にコメディーに昇華しています。

さらに、アイリーンの残念悪役令嬢ぶりをシャーロットの姿で演じさせることで、立場も相まって2倍美味しいんですよね。作者さんの設定に脱帽です。どういうことか気になる人はぜひご一読下さい!

さてさて、「ポンコツ」「残念」「ダメダメ」とアイリーンについて散々ひどく書きてきましたが、根はとってもいい子なんです。後半のややシリアス成分が入ってくる展開や、乙女ゲームの中の登場人物という世界観も相まって、最後には少し切なくも爽やかな読み心地をもたらしてくれるでしょう。十二分にコメディーしてくれる本作ですが、それだけでは終わらずにしっかりと物語を畳んでくれるところも大きな魅力です。

 

「皆さま、聞いておくんなまし!」

コメディータッチで笑わせつつ、小説としてもしっかりとまとめられており、書籍化も納得の作品です。変わり種の悪役令嬢ものを読んでみたい人にはもちろん、笑顔が最近足りない人にもぜひ読んで頂きたいです。

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