メルメアさんの作品、『ただのダンジョン探索者ですがオリジナルスキルのせいで魔王と呼ばれています～スキル【複製転写《コピーアンドペースト》】でモンスターのスキルを習得しまくったら最強になった件～』 をレビューします。
作品の概要とおすすめポイントはこちら！
- オリジナルスキルによってモンスターの使うスキルをコピーできるようになった主人公が、強力な技を次々に習得してダンジョンを攻略するお話
- 設定やストーリー展開では王道をいきつつ、多種多様なスキルの描写が丁寧な点が魅力。モンスター専用スキルを人間が使った場合に生じる齟齬が描かれているのは面白い。
魔王と呼ばれるほどにモンスタースキルを使いこなす
メルメアさんが「カクヨム」、「小説家になろう」で掲載されている作品です。21年3月に投稿をスタートされて4月末の時点での投稿分は約12万字。空き時間で追いつくには丁度よい分量ではないでしょうか。
現代が舞台のユニークスキルによるダンジョン攻略ものです。18歳の誕生日を迎えて晴れてダンジョンに潜れることとなった主人公の麻央、ステータスを確認したところ複製転写《コピー＆ペースト》というオリジナルスキルを持っていることが分かります。効果は「モンスターや探索者のスキルをコピーして自らの物にできる」という強力なもの。麻央はスキルを次々とコピーしてダンジョン攻略に勤しみますが…
「スキルのコピー」はユニーク能力の定番であり、強敵やボスのスキルをコピーしての王道無双展開は安心して読むことができます。展開のスピードや仲間キャラの数が丁度よい上、無双しつつもスキルを駆使してピンチを乗り越えていくバトルも気持ちよいと、非常にバランスの取れた作品だと感じました。
最新の連載部分では謎の集団が暗躍をはじめ、ストーリーは新しい展開を迎えそうです。魔王と呼ばれる主人公の今後の活躍に期待です！
おすすめ度
40話時点（2021年5月）
★★★（星3つ、今後の展開に期待）
★5つで満点。かぴばーの個人的好みに基づいたスコアです。
あらすじ
『あれが噂の魔王か…。周りにいるのが例の使い魔だろ？』
モンスターの住むダンジョンが日常の一部となっている現代。
幼い頃から探索者に憧れ続けていた柏森麻央《かやもり まお》は、18歳の誕生日に念願の探索者として第一歩を踏み出す。
そんな麻央に与えられたのは、【複製転写《コピー＆ペースト》】というオリジナルスキル。
数千人に一人しか手にしないというオリジナルスキルを手に入れた麻央は、大興奮で初めてのダンジョン攻略に挑む。
しかし…
出現した低レベモンスターのスライム相手に、早速【複製転写《コピー＆ペースト》】を使おうとしたのだが何も起きない。
それどころか、スライムの攻撃スキル【体当たり】でダメージを食らってしまった。
何気に痛い【体当たり】の攻撃に萎えかける麻央。
「ああもう!【体当たり】はやめろって…」
弱気に呟いた麻央だったが、その一言でオリジナルスキル【複製転写《コピー＆ペースト》】が目覚めた。
【複製転写《コピー＆ペースト》】は、言葉にした戦闘相手のスキルを複製《コピー》して自らに転写《ペースト》出来るスキル、つまりモンスターのスキルをそのままゲット出来るスキルだったのだ。
【体当たり】Lv.1を習得した麻央は、スライムのスキルでスライムを倒す。
モンスターのスキルを習得出来る探索者なんて他にはいない。それはまさに、麻央だけに与えられた超強力な成長法だった。
モンスターのスキルでモンスターを倒すことを「オシャレ」と勘違いした麻央は、その後もどんどんモンスターのスキルを習得し、「魔王」と呼ばれるようになっていく。
「カクヨム」本作ページより引用
モンスタースキルの使い方が新鮮
他人の使うスキルをコピーする設定はよく見かけますが、本作はモンスター専用のスキルを人間が使う様子をきちんと描いている点に特色があります。
剣術技や魔法であればコピーしてそのまま使用することに全く違和感はないものの、スライムの「分裂」や雷系モンスターの「帯電」、植物モンスターの「棘飛ばし」といった、モンスターの体躯を生かしたスキルを人間が使おうとすると一体どうなってしまうのでしょう…？
結果が気になる方はぜひ本作を読んでみてください。モンスターと人間で効果や見た目が違うスキルも多く、主人公の麻央は試行錯誤しながらスタイリッシュに使えるスキル群を選別していきます。「この技、人間が使うとどうなるんだろう」という部分に着目した作品はあまり記憶になかったため印象に残りました。
また、無双ものにありがちな強力スキルでのゴリ押しに終始するのではなく、投稿部分後半のボス戦では相手スキルをコピーすることで活路を見出す熱い展開も描かれている点にも注目です。圧倒的火力での蹂躙もネット小説らしくて好きですが、味方の力とスキルの搦め手の組み合わせによる詰将棋のような勝利もよいものです。
今後も「モンスタースキルだからこそ」の無双＆熱い展開を楽しみにしています。
日常と戦闘パート、ギャグとシリアスのバランスもしっかりとられており、とても読みやすい作品です。
多彩なスキルのせいで無自覚に魔王じみていく麻央の様子を見守っていきましょう。
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